祭囃子の笛が聞こえる
待ちに待った喧騒に
駆け出す貴方は、遠い、遠い
はにかむ笑顔に気を取られ
僕は可能性を失ってしまった
全ては記憶に帰納される
それは孤独の呼び水で
痛みに堪えたあの少女には
十字架だけが与えられる
誰かが咎める声が聞こえる
そんな啖呵に怯むことなく
貴方の願いは、強く、強く
だけど傷みで耳を塞いで
僕は勘違いを繰り返してしまった
悲しい物語は収束する
全ての不幸を引き留めて
選択肢すら選べぬ彼らは
石を投げつけ安心をする
人が壊れた音が聞こえる
生傷だらけの感性に
残った言葉を、ついに、言えず
寂しさの欠片に勝手に傷つき
僕はまた世界を見捨ててしまった
「そしてなく」