僕は電灯が好きだ
僕らの為だけに照らす
その健気さが好い
虫たちを集めて焼き殺す
その残酷さが好い
どんな夜にも負けること無い
その気丈さが好い
亡霊たちをピカピカにする
その清潔さが好い
もしも電灯が語るのならば
きっと月への敬意だろう
もしも電灯が恋するならば
きっと星々の遠さだろう
僕は電灯になりたい
貴方が傷つかないように
言葉を選んだりしないように
全てを奪う事の無いように
素直に静かに柔らかに
善きものたちの邪魔にならない
一つの電灯になりたい
光の束の集合になりたい
その啓示が或いは訪れたら
僕は汚い路地裏を照らすのだ
身の丈の悲しみを大切にする
彼らの足元が迷わぬように
「電灯は照らしてる」