ライトポエムの最深部。


或いは美型詩の実験場。


まず愛していると言う言葉は

詩人にとっての敗北です

その肌触りや哲学や

情緒や温度や距離感を

たった一枚の紙切れに

書き残して夕暮れの

海に濡らして溶かさねば

僕は永遠に愛と呼ぶ

仕組みと対峙は出来ません

 

詩人で在るのは面倒です

理想を描いて惨めになって

本能を招いて咳をして

現実を知って目を回し

理性を齧って泣き笑う

そして掴まえた継ぎ接ぎを

さも知りなんと綴る日々に

生きているのも窮屈です

 

これから詩人になる人へ

貴方の半分は完璧です

不遇を恐れず魂を削れど

貴方はゆっくりと死んでいきます

或いは誰にも知られないまま

貴方の抜け殻だけを何処かへ

(脳や名札やレシートの裏などに)

遺して最後は冷たくなるでしょう

それが貴方の躰か心かは知りません

ただ、報われないのが正しいのです

しかしそれでも詩人になりたいなら

詩人でありたいと願うのならば

僕はそんな貴方が死ぬほど愛おしい

貴方の為に言葉を残し

貴方の為に不幸になりましょう

だから貴方は気負いをせずに

僕の「愛している」の行く末を

どうか見守っていてください

そしてそれを絵具や姿見にして

貴方は強く紅を引いて下さい

僕は敗北しましたが

貴方は優しく詩人たれるように

きっと記憶は残しておくから

きっと意味を残しておくから

 

 

「愛すべき詩人未満へ」