ウェヌスの暗号

韻を踏み過ぎてパーに成った。

芸術幼女言語の最深部。


或いは美型詩の実験場。


例えばの話をしよう
沢山の可能性を拾い集めて
全てが笑顔になる欠片を見つけよう
そのタラレバに嬉しくなれば
もうまた怖くて傷つく残酷なことが
傍にいても少しは平気になるから


僕はナイトで君がプリンセス
襲い掛かる人喰いオークやドラゴンに
僕は必死で血を流し命かけて戦うから
君がプレゼントした似合わないルビーのペンダントに
涙を一滴落としてくれたなら


僕はロボットで君は偉大な博士
国の命令で処分されゴミになる同胞たち
僕はそれでもyesと必ず言うから
君が背中のキーボードで破壊プログラムを組み込んで
涙を一滴落としてくれたなら


僕はベーシストで君はピアニスト
セックスのような音楽で寡黙を撫ぜて
僕は君のためだけにかき鳴らすから
君が死ぬ前の年老いた僕のベースラインを悟った後に
涙を一滴落としてくれたなら


僕は三次元で君は二次元
決められた言葉だけを延々と交わす
僕は変わらず愛の選択肢を選ぶから
君がいつまでも変わらない次元のもっと彼方のほうで
涙を一滴落としてくれたなら


僕は僕で君は君さ
何者にもなれないくせに何かになってしまう
僕は自由を惨めに履き違えてしまうから
君がそれを許した後にそっと強く手を重ねてくれて
笑顔を一度でも見せてくれたなら


本物がいくら地獄だとしても
例えばの優しさでいつまでもやり直そうよ
可能性の海でだけは主人公は紛れもなく僕さ
君とだって神様みたいに何度も出会い続けるよ
もうすぐ怖くて傷つく残酷なことが
僕の頭の中を見て逃げていく頃さ




「タラレバ」