目の前で静かに死にゆく人の
舌のこぼれた弛緩した顔に
僕は胸を焼くほどの嫌悪感を覚え
それを罪として生きるとするのです
人が人で喪くなってしまうとき
僕は何時だって酷く歪んで
溢れそうなコップを割れんほどの強さで
握りしめて、それを心と呼んでいたのです
麻酔は人を死よりも深いところに連れて行くと
それで頭をおかしくなった人は冗句します
僕は嫌で仕方ないのにそれを妄信して
痛みの価値を考えて眠れなくなるのです
ああ、神様貴方の作った器は未完成です
我々の培った魂こそが何よりも美しいのです
風の中の答えを他所に今日くらいは
差し伸べる手に振り回されながら踊りたいのです
まことにそうです!
「モルヒネとワルツ」