ウェヌスの暗号

韻を踏み過ぎてパーに成った。

芸術幼女言語の最深部。


或いは美型詩の実験場。


彼女の嘆願が耳に残る
私の左目が泣いている
どうしてこんな事になってしまったの
私は時々記憶喪失


蹴り蹴り殺した黒猫の
脳漿が明るく、私の姿を映してみせる
自分の叫び声で我に返っては
右腕はとても使い物にならないと知る


呼吸が足りずに苦しくて
貧血染みた毎日に抵抗できず
「夢見るあの子を眺めていたら、月日が過ぎてキスになる」
その幻想妄実に、支えられる


私が私を私たらしめるには
幾つかの意味と些細な方法論が必要で
彼女という意味も黒猫の方法も叶えども
しかし決して私を優しくはしてくれない


私の心を鋼に変えて
命の痛みを甘く飲み干し
そこそこの常識す夢を見たらまた
この左目は悲しいと不平を言うの


ただ、私は忘却に惑わされなお
被害者意識の加害に腰を下ろしたかったのだ
時間を殺戮することもなく
愛などという私の身勝手に解かれたかったのだ


記憶と意識が矛盾を孕みながら乖離する肉体に
恐怖を忘れて嘯いていたい私に
この残虐は似合うのか? と
私は時々記憶喪失




「衝動と言い訳と助けを急かす私」