彼女の嘆願が耳に残る
私の左目が泣いている
どうしてこんな事になってしまったの
私は時々記憶喪失
蹴り蹴り殺した黒猫の
脳漿が明るく、私の姿を映してみせる
自分の叫び声で我に返っては
右腕はとても使い物にならないと知る
呼吸が足りずに苦しくて
貧血染みた毎日に抵抗できず
「夢見るあの子を眺めていたら、月日が過ぎてキスになる」
その幻想妄実に、支えられる
私が私を私たらしめるには
幾つかの意味と些細な方法論が必要で
彼女という意味も黒猫の方法も叶えども
しかし決して私を優しくはしてくれない
私の心を鋼に変えて
命の痛みを甘く飲み干し
そこそこの常識す夢を見たらまた
この左目は悲しいと不平を言うの
ただ、私は忘却に惑わされなお
被害者意識の加害に腰を下ろしたかったのだ
時間を殺戮することもなく
愛などという私の身勝手に解かれたかったのだ
記憶と意識が矛盾を孕みながら乖離する肉体に
恐怖を忘れて嘯いていたい私に
この残虐は似合うのか? と
私は時々記憶喪失
「衝動と言い訳と助けを急かす私」