ライトポエムの最深部。


或いは美型詩の実験場。


その長い髪を切り落とした少女が
僕の中で笑っている
何故つややかな其れを失ったのかと聞いても
静かにくすくす笑っている
恋に破れたか、もしくは願掛けか
そういった精神による糸口かと
何度も何度も問いかけてはみるものの
やはり、彼女はくすくすと喉を鳴らし
僕の中に座り込んでいるのです


幾日前か、幾月前かに
彼女は髪をさっぱりと切り落としたのです
指の間を縫うように絡まった其れを
僕はとても大好きでした
なのに僕の心がいつしか暗い海に沈み
それから漸く内蔵の破裂と共に砂に顔をつけると
彼女はごく自然に、しかし僕から見れば異様な姿で
僕の中にうずくまり、くすくすくすくすと


彼女はそして言いました
「私めを、殺せばよいじゃありませんか
そんなにも憎いならば一思いに私を殺してしまえば好いでは在りませんか
貴方に憎まれるくらいならばどうぞ一思いに!」
僕が何故彼女に手をかけなければならぬのかが一向にわからず
ふらふらと酔いどれて、路地の電柱にしがみついた頃に
僕の目前の月影のなんと綺麗なことか!
恐ろしい、恐ろしいと思い
髪を切った彼女のはそのあくる朝に死にました、ええ、確かに死んでしまいました
僕がこのような話をするとは思わなかったでしょう
しかし其れが僕の唯一の心残りなのです
ええ、ええ、わかっております
僕は確かに、その少女を愛していた
のですよ




「白く暗い路地」