失恋を誇揚し
愛惜する明喩
追憶の花園で
永く諦視する
哀しい吐息が
肌に交霊する
老犬は黙して
無を難詰する
眠剤を制覇し
衰耗する名残
寝室の谷底で
弱く遺存する
正しい論理が
風に敗散する
星空は奏して
非を混在する
「砕片の君」
芸術幼女言語の最深部。
或いは美型詩の実験場。
幼稚な恋文
玉水も無く
倫理の錆が
心機を模る
戒禁の灰は
教室で散り
若い利敵に
夢想が嬲る
素敵な悪口
夕凪も善く
墜死の虹が
闇路を彩る
定説の空は
屋上で降り
甘い痛苦に
螺旋が過る
「罰の浄福」
真理の歌姫は
破滅を予知し
苦しい肯定で
形而下に佇む
不愉快な星が
末路に敗北し
炸裂した闇は
変遷を宿した
聾唖の台風は
悪夢を世話し
空しい怨恨で
疑問符に俯く
無差別な神が
奇蹟に哀憐し
追想した骨は
冒涜を遺した
「歪む慈悲」
裏腹な夜が
夢を拒絶し
花の陽炎は
無口に悼む
死兵は熱り
実で歪曲し
骸の背理に
敬虔を護る
硬骨な雨が
嘘を治療し
空の諦念は
不敵に嘆く
譚詩は翳り
個で終演し
獣の嗚咽に
役割を悟る
「ホーリィ」
燕の離別は
健気な摂理
流転する夢
正しい悪癖
聖い不逞が
大空に乗り
時の形見を
巧説してる
菫の色香は
繊美な懸想
秘匿する庭
淋しい追伸
永い無心が
溜息に散り
恋の末路を
抱擁してる
「野生の舞曲」