ウェヌスの暗号

韻を踏み過ぎてパーに成った。

芸術幼女言語の最深部。


或いは美型詩の実験場。


夏の海底で

詩が充満し

明媚な鯨は

胃袋を貴む

 

永い厳戒が

嘔吐する韻

泡は還って

文脈に届く

 

夜の密林で

絵が完熟し

一途な鼠は

泪目を瞬く

 

弱い慟哭が

苦悩する色

風は悟って

情景に刻む

 

 

「無垢な黒」

不治の韻律が

空白を駆けて

浄い唯我論は

文法に咲いた

 

淋しい正理に

言葉は肯いて

林檎園の雨が

幻影を葬った

 

未知の演奏が

観念を染めて

古い鎮魂歌は

性説に病んだ

 

空しい神秘に

楽譜は佇んで

蟻地獄の贄が

追憶を怠った

 

 

「高熱な黙示」

硝子の羊は

獣に襲われ

綿密な肉が

強く熱った

 

骨の芯まで

煌く造りは

生命讃美を

顕在してた

 

夢想の菫は

嵐に穢され

幻惑な蜜が

弱く薫った

 

種の毒さえ

貴む祈りは

心理演算を

完結してた

 

 

「クライ」

貴方は冷笑し

季節を拒んだ

無垢な暴君に

夢の花が散る

 

蜜菓子を齧り

豊潤に戯れる

淋しい追憶が

宿った食味よ

 

詩人は作病し

論理を招いた

不義な弱虫に

毒の月が照る

 

地下鉄を座り

終点に憧れる

正しい滅亡が

睡った浄土よ

 

 

「失調の情景」