聖母の不実に
死産児が踊る
慈愛は哀しく
便器に散って
哲学者が祈る
暴君な奇蹟は
硝子で造られ
臆病を命じた
奴隷の自由に
絵葉書が積る
名残は易しく
旅路に酔って
流星火が語る
雄大な真理は
奥歯で護られ
強情を禁じた
「泪色の配列」
芸術幼女言語の最深部。
或いは美型詩の実験場。
聖母の不実に
死産児が踊る
慈愛は哀しく
便器に散って
哲学者が祈る
暴君な奇蹟は
硝子で造られ
臆病を命じた
奴隷の自由に
絵葉書が積る
名残は易しく
旅路に酔って
流星火が語る
雄大な真理は
奥歯で護られ
強情を禁じた
「泪色の配列」
白昼夢睨む
僕の真性は
蛹に篭った
醜い弱虫で
惑乱が咲き
破滅する個
暴悪な雨に
頬は怖れた
狙撃銃響く
君の亡霊は
荊に縛った
貴い神様で
憐憫が膿み
放棄する理
贅沢な穴に
影は溺れた
「憂世の贄」
夏の海底で
詩が充満し
明媚な鯨は
胃袋を貴む
永い厳戒が
嘔吐する韻
泡は還って
文脈に届く
夜の密林で
絵が完熟し
一途な鼠は
泪目を瞬く
弱い慟哭が
苦悩する色
風は悟って
情景に刻む
「無垢な黒」
不治の韻律が
空白を駆けて
浄い唯我論は
文法に咲いた
淋しい正理に
言葉は肯いて
林檎園の雨が
幻影を葬った
未知の演奏が
観念を染めて
古い鎮魂歌は
性説に病んだ
空しい神秘に
楽譜は佇んで
蟻地獄の贄が
追憶を怠った
「高熱な黙示」
硝子の羊は
獣に襲われ
綿密な肉が
強く熱った
骨の芯まで
煌く造りは
生命讃美を
顕在してた
夢想の菫は
嵐に穢され
幻惑な蜜が
弱く薫った
種の毒さえ
貴む祈りは
心理演算を
完結してた
「クライ」
貴方は冷笑し
季節を拒んだ
無垢な暴君に
夢の花が散る
蜜菓子を齧り
豊潤に戯れる
淋しい追憶が
宿った食味よ
詩人は作病し
論理を招いた
不義な弱虫に
毒の月が照る
地下鉄を座り
終点に憧れる
正しい滅亡が
睡った浄土よ
「失調の情景」