ウェヌスの暗号

韻を踏み過ぎてパーに成った。

芸術幼女言語の最深部。


或いは美型詩の実験場。


不細工が祟る

愚鈍な道化は

星座の灯光で

初恋を点ける

 

指環は疲弊し

孤独に鈍って

一途な遊宴を

宇宙で演じる

 

美意識が篭る

無骨な詩人は

胎児の淫蕩で

口癖を埋める

 

林檎は背理し

数多に実って

浮気な憧憬を

子宮で詠じる

 

 

「想う落伍者」

嵐の靴音に

夜鷹は怖れ

惨い双翼を

詩篇で慰む

 

暗喩は強く

嘆美を彩る

破滅の泪が

独裁しても

 

蛍の色艶に

女神は溺れ

若い基督を

媚薬で導く

 

依存は深く

至福を模る

生死の燈が

亡失しても

 

 

「夏の極地」

読点の休止で

恋文が磨かれ

丁寧に択んだ

感嘆詞は咲く

 

日曜は永くて

不遇に溺れる

言葉が氾濫し

嗚咽を秘める

 

光彩の微笑で

神様が望まれ

乱雑に紡いだ

精神史は熟む

 

横顔は聖くて

讃美に溢れる

寝息が静穏し

帰結を避ける

 

 

「愛しき便箋」

踏切の赤が

裡で喧騒し

嘆願は潰れ

真実を病む

 

右足拾って

線路で弱る

愚かな夏が

僕を蝕めど

 

水仙の白が

喉で独奏し

約束は暴れ

遠景を往く

 

箱庭穢して

毛布で氷る

静かな朝が

僕を導けば

 

 

「歪な陽炎」